International Jomon Cultuer Conferrence|縄文土器/土偶/貝塚/勾玉など縄文時代/縄文人の文化を探求する考古学団体 (▼△▼)/

■ 第6回国際縄文学協会奨学生 レポート Vol.4 吉田泰幸


The Great Curve: 縄文と英国先史文化の曲線美

 Sainsbury Institute for the Study of Japanese Arts and Cultures (SISJAC)には日本で言うところの「友の会」のようなサポータークラブがあり、その方々向けに2月9日にAn Evening of Art and Archaeologyというイベントが開催されました。SISJACのサイモン・ケイナーさんの司会で、訪問研究者としてSISJACにいらしている弥生時代研究者の方と私が話題提供を担当しました。私は「Jomon and Art」と題して、昨年、縄文時代の土偶が英国のオークションにおいて100万ポンドで落札されたことや、縄文は岡本太郎に始まり坂本龍一に至るまで、今も昔も広くアーチストを魅了していることを紹介しました。その後、サポータークラブの方々との質疑応答のようになっていったのですが、そこでは土偶についての疑問、質問がいくつか寄せられました。やはり縄文土偶の造形は洋の東西を問わず人々を惹きつけて止まないようです。

 英国の新石器時代には縄文時代の土偶のような造形物はあまり見かけません。現在、北海道南部と北東北の縄文遺跡群が世界遺産登録を目指していますが、英国新石器時代の遺産として著名なストーン・ヘンジ(Stone Henge)は世界遺産となっています。2月にSISJACがヨーロッパの大学と東京大学の学生を対象としたWinter Programmeを開講し、その中でストーン・ヘンジにもバスをチャーターして訪れるというので、便乗させてもらいました。

 ストーン・ヘンジは入り口にあるビジター・センターで映像なども駆使した展示でストーン・ヘンジの景観の変化や、出土遺物についての知識を得た後、シャトルバスで最も著名な巨石遺構に近くまで移動、そこから巨石遺構の近くまで歩いて、その周りを一周するという一連の体験の流れがデザインされています。これは数年前の再整備によるもので、それ以前の景観は自動車も通る道が巨石遺構のすぐ近くを通っていたり、随分と異なるものだったようです。訪れた日は英国の2月にしては珍しく青空が広がる中、巨石遺構のすぐ近くの牧草地で草をついばむ羊も含む景観を楽しむことができました。展示室も巨石遺構の周辺も見学客で賑わっていましたが、それでもハイシーズンではないので人は少なめだったようです。

 ストーン・ヘンジの後は同じくストーン・サークル状の巨石遺構であるエイヴベリー(Avebury)を訪れました。こちらも世界遺産なのですが、日本での知名度はそれほどでもありません。巨石遺構の規模も大きく、その周りを巡る溝も深く、幅も広いです。博物館やカフェといった施設も一揃いあるのですが、そちらの規模はストーン・ヘンジとは比べるまでもなく小規模で、遺跡の中を道路が横切り、遺跡の中に民家もあり、雰囲気がストーン・ヘンジとはかなり異なります。英国人、日本人研究者問わず、観光地として洗練されていくストーン・ヘンジよりもエイヴベリーの方が好きだ、という方は何人かいます。

 今、平面プランが丸い家を建てたら空間の無駄遣いと言われるかもしれませんが、大昔の家はそうした家が多いです。縄文時代の竪穴住居も、当時の技術ではそれが合理的だったのか、象徴的な意味合いがあったのか、丸い平面プランです。英国では青銅器時代の住居の復元画がクリスマス・ハットのような円錐形、つまり平面は円形の住居で描かれていて、実際の出土例がそうなんだろう、ぐらいに思っていましたが、そんな中、当時の住居の様子をよく伝える遺跡がノリッチから電車で1時間半ほどのピータバラにあるマスト・ファーム(Must Farm)という遺跡で見つかったことがニュースになりました。柱だけでなく上屋の構造を支えていたであろう材木も出土しました。この地方に特徴的な低い土地に築かれた遺跡で通常の遺跡では残りにくい有機質の遺物がよく残っているので、「Britain’s Pompeii」というキャッチフレーズで注目を集めています。冒頭で触れたSISJAC訪問研究者の弥生時代研究者は「イギリスの青谷上寺地(鳥取県の遺跡で同じく有機質遺物が豊富)」と命名していました。マスト・ファームを見学した際は、すぐ近くにある著名なフラッグ・フェン(Flag Fen)という遺跡公園も訪れたのですが、英国のサマータイムの時期しか開園していないらしく、また次回となりました。

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